【贈与税について①・暦年課税と精算課税】
令和6年度税制改正で贈与税について改正された点はご存じの方も多いと思います。関心の高いところだと思いますので、今回からは贈与税について説明していきたいと思います。
今回は、まず概要について説明します。現在贈与税については2つの制度があります。すなわち「暦年課税」と「精算課税」というものです。どちらにも共通する点として、贈与を受ける側(受贈者)が申告・納税をするということが挙げられます。
「暦年課税」は、俗な言い方をすると「普通の贈与」です。何も届出や手続きをせずに財産をもらった(贈与を受けた)ときには、この制度の適用を受けることになります。
「暦年」の名の通り、暦年(1~12月)を一つの期間と区切り、その期間内に贈与を受けた金額の合計額から110万円の基礎控除額を控除し、これを超えた部分の金額にその金額に応じた所定の税率により贈与税を計算します。
同じ暦年で複数の人から贈与を受けた場合には、それらをすべて合計した上で贈与税を計算して申告・納税をする必要があります。
もう一つは「精算課税」、正式には「相続時精算課税」といいます。暦年課税を「普通の贈与」というのであれば、こちらは「特殊な贈与」といったところでしょうか。
こちらの制度は、贈与をする人(贈与者)と受ける人(受贈者)に一定の親族関係等がある場合で、一定期間内に選択届出の提出をしたときに適用を受けることができる制度です。
贈与を受けた財産の価額から暦年ごとに110万円の基礎控除と、これを超えた部分について(一生涯の)累計2,500万円の特別控除額を控除します。これを超えた部分についてはその20%の贈与税を納付する必要があります。
こちらは一対一の贈与なので、「他の方からの贈与を合計」ということはありません。また、その一対一の贈与については「暦年課税」に戻ることはできません。
この2つの制度は贈与者に相続が発生した場合の取扱いが大きく異なります。次回以降、それぞれについて簡単な制度の内容やその特徴について説明していきたいと思います。