コラム

【消費税はこわい】

税理士でないと「消費税はこわい」と感じた経験はないかもしれません。あまり理解はいただけないかもしれませんが、今回は私が「消費税はこわい」と思った実体験の一つを話していきたいと思います。

 

申告期限月の月初めに法人の申告の依頼を受けたときのお話しです。事情があり過去の申告書等が初めに確認できなかったので、とにかくまずは資料を預り決算を進めました。ボリュームがあったので、それはもう必死でした。

処理をしていくと売上高が3億円を超える規模であることが分かり、消費税を納税している形跡もあったのでインボイス登録済の消費税の課税事業者で一般課税での申告と予想していました。

ところがどっこい、そう単純ではありませんでした。後から五月雨式に入手した資料により、次のような状況であることが分かってきました。

 

・今回の決算期は第3期

・1期目の売上高は1,000万円以下(12ヶ月換算後)

・2期目は売上高が約2億円、特定期間の課税売上高は1,000万円超

ただし、同期間の給与等の金額は1,000万円以下

・インボイス登録日は2期目の中途

 

この第3期に該当する課税期間についてはインボイス制度を機に消費税の申告納税が必要になった法人に該当したため、いわゆる「2割特例」が適用可能であることが分かりました。この2割特例は当初の申告において選択しないと適用ができず、更正請求により事後的に選択しても認められません。当初申告で適用していなければ、納税額が多くなる結果となってしまっていました。

軽油税を分けて処理したり、課税仕入を「適格」「区分記載」に分けて処理していたことなどが無駄(?)になりましたが、お客様の納税額を法の範囲の中で少なくすることができたのでホッとしました。消費税に油断は禁物、と強く感じたお話しでした。