コラム

【名義預金の指摘を避けるためには?】

前回からの続きとして、今回は税務署から“名義預金”として指摘されないためにはどうしたらいいか?についてみていきたいと思います。

 

名義預金とは、預金の贈与をしたつもりが、その贈与が認められなかったことにより生じるものです。裏を返せば名義預金と指摘されないためには、贈与であることが明らかとなる証拠を残しておけばよいということになります。では、その「贈与であることが明らかとなる証拠」を残すためにはどうしたらいいでしょうか?

前回も申し上げましたが、贈与とはあげた方(贈与者)ともらった方(受贈者)の双方の意思があってはじめて成り立つものです。名義預金を指摘されるケースでは、特に受贈者の意思が確認できないことが要因であることが多くあります。それでは受贈者の意思が確認できるようにするにはどうしたらいいでしょうか?

 

〇贈与証書を作成する

お互いが少なくともご自身のお名前を署名(自筆で記載)した書面を作成しておけば、両者の意思が明確になります。形式はそれほどこだわらなくてもいいかと思います。

〇預貯金の贈与は振込により行う

現金での贈与は証拠が残らないことが多いです。預貯金の振り込みであれば双方の口座に相手方の名前が記録されるので証拠が残ります。

〇受贈者が普段使っている預金口座又は受贈者自身が作った預金口座を使用する

受贈者自身が管理している預金口座に贈与による振り込みをすれば、受贈者がもらった事実を知らないということは起こり得ず、もらったという意思が証明しやすくなります。

「受贈者自身が作った預金口座」について、税務署は“受贈者自身”が作ったかを確認するために、預金口座の取引印鑑や口座開設時の手続書類の筆跡まで確認することもあるので注意が必要です。

〇受贈者が贈与税の申告を行う

贈与を受けたとしても贈与税が発生しなければ、受贈者は贈与税の申告をする必要はありません。税額が発生して申告書を提出すべき場合はもちろんですが、税額が発生せず申告書を提出する必要がない場合でもあえて申告書を提出することで受贈者が贈与を受けたことを認識しているというアピールになります。

 

注意すべき点をいくつか挙げましたが、要は贈与者と受贈者の双方の意思が明確であることが重要ということになります。参考にして頂ければと思います。

最後に一点、贈与者の意思という点で、認知症の症状がある方については意思能力の問題から贈与者とはなり得ず、贈与は成立しないということを申し添えておきます。