コラム

【贈与税について③・精算課税贈与:その1】

今回から2回で相続時精算課税贈与について説明いたします。精算課税については様々な特例がありますが、これらについては省略して原則的な取扱いについて取り上げます。

 

この制度は原則として60歳以上の父母または祖父母などから18歳以上の子または孫などに対して財産を贈与した場合に選択できるものです。この制度は、父母や祖父母の世代の方から若い世代の方に財産を早期に移転しやすくするために設けられたものです。生前に財産を(暦年)贈与により移転すると、贈与する財産の価額によっては贈与税の負担が高くなるので、この特殊な贈与により税金の負担を軽減して財産の移転を促そうという趣旨で創設されたものです。

 

この精算課税贈与についても暦年課税同様、令和6年分以後についての改正があったので、その改正後の制度について説明いたします。説明の中で、この制度を適用して贈与をする場合の贈与する方を「特定贈与者」、贈与した財産を「相続時精算課税適用財産」といいます。

 

この制度を選択した特定贈与者からの贈与について

① 1暦年につき110万円の基礎控除

② 生涯において2,500万円の特別控除

の2つの控除があります。暦年ごとの贈与税申告において、相続時精算課税適用財産の価額から①を控除し、その残額から一生涯(累積)で②を控除していきます。②の2,500万円の特別控除額を引き切って残額がでたときには、その残額部分について20%の贈与税が課税されます。

 

そして特定贈与者について相続が発生したときには、その特定贈与者に係る相続時精算課税適用財産の価額から各年分の贈与税申告において控除した基礎控除額を控除し、その残額(令和5年分以前については基礎控除なし)について、その特定贈与者の相続における相続税の課税価格に加算します。

また、この特定贈与者からの贈与について納付した贈与税があるときは、その贈与税をその特定贈与者の相続における納付すべき相続税から控除します(納付した贈与税の方が大きければ還付となります)。

 

今回はここまで。次回は選択方法や制度のポイントと思われる点について説明していきたいと思います。

 

《注》このコラムは簡略的な記載となっております。実際の税務判断や申告については専門家などに確認した上で行ってください。