コラム

【贈与税について②・暦年課税贈与】

贈与税の「暦年課税」とは、暦年(1月~12月)を一つの期間と区切り、その期間に贈与を受けた財産価額のうち110万円の基礎控除額を超えた部分について課税するというものです。

この「暦年課税」贈与については、贈与をした方(贈与者)に相続が発生した場合の生前贈与加算という規定があります。これは、お亡くなりになった方(被相続人)から生前に財産の贈与を受けた相続人等について、その贈与を受けた財産のうち「一定期間」内に受けたものについては相続税の課税価格に加算するというものです。

この「一定期間」について、令和5年の贈与までは「3年」だったものが、令和6年以後の贈与については「7年」と長くなりました。例えば、令和6年に父から贈与を受けた財産については、その父の相続発生が令和13年までであれば相続税の課税価格に加算しなければならないということになります。

 

この期間延長が大きく取り上げられていますが、ここで整理をしておく必要がある点があります。

まず、生前に財産の贈与を受けた方が相続人等に該当しない場合には生前贈与加算は必要ないという点です。例えばお孫さんがおじいちゃんから財産の贈与を受けていた、なんてことはよくあると思います。このような場合にはお孫さんが相続人に該当しなければ、その贈与を受けた財産の価額は相続税の課税価格に加算する必要はありません。ただし、そのお孫さんがそのおじちゃんの養子または代襲相続人であるなど相続人に該当する場合や、遺贈により財産を取得している場合などはこの限りではありません。

さらに、生前に財産の贈与を受けた方が相続人等に該当する場合であっても、その方が「その相続または遺贈により財産を取得」していなければ、その生前贈与財産については生前贈与加算の対象とならないという点にも注意が必要です。 例えば相続人である「子A」が被相続人である「父」からその生前に財産の贈与を受けていたとしても、その「父」の相続において「子A」が財産を相続または遺贈により取得していなければ、その「子A」が生前に贈与を受けた財産の価額は、その被相続人である「父」の相続税の課税価格に加算をする必要がないということになります。

 

7年以内に贈与した財産はすべて加算される、と思われている方もいらっしゃるかもしれません。これらの点についてしっかりと押さえておいていただければと思います。

次回は「精算課税」について説明いたします。

 

《注》このコラムは簡略的な記載となっております。実際の税務判断や申告については専門家などに確認の上、行ってください。